ユドヨノ大統領が二十四日、「(独立捜査機関の)汚職撲滅委員会(KPK)は強大な機関になった。KPKに対する監視を強化すべきだ」と発言したことに対し、波紋が広がっている。KPK設立から六年で、大統領自身の親族を含め、多数の国会議員、政府高官に汚職罪による有罪が下っており、ユドヨノ政権は汚職撲滅に一定の成果を挙げているとして国民の信頼を獲得したが、大統領の発言を受け、大統領選挙の他候補陣営はユドヨノ大統領の汚職撲滅の姿勢に対する批判攻勢を強めている。
■KPKも捜査対象に
西ジャカルタ・パルメラのコンパス紙編集部を訪れたユドヨノ大統領は二十四日、「強大な権力は十分な監視がない状態では非常に危険だ。KPKをめぐっては、私は本当に念を押したい。権力は監視されなければならない。KPKはすでに強大な機関となった。責任は神に対してのみある。気を付けるべきだ」と語り、KPKの権限乱用に懸念を表明。
また、「汚職撲滅を推進する清潔な政府を実現するためには、KPKをはじめとする汚職撲滅に関与する機関自体がクリーンでなければならない」「KPKに過ちがあった場合、KPKだけでなく全国民が恥をかく。例えば、『汚職捜査機関でさえ汚職をしている』などと言われてしまう」として、汚職捜査対象の「聖域」はなく、KPK委員や捜査官であっても、汚職に関与した場合は適切に法的措置が講じられなければならないと強調した。
大統領は、インドネシアで汚職が一掃されるまでには時間がかかるとの見方を示し、「香港でも十五年かかった。われわれはもう少しかかるだろうが、十五─二十年後までに実現できれば」と語った。
大統領の発言を受け、金融開発監査院(BPKP)のディディ・ウィダヤディ長官は二十五日、南ジャカルタ・クニンガンのKPK事務所を訪れ、KPKの会計検査を実施するとの方針を発表した。「政府機関の内部調査制度に関する政令に沿った措置」と説明し、大統領が示唆したKPK内部の汚職についての調査を進める意向を示した。
■「むしろ権限強化を」
カラ
副大統領陣営のユディ・クリスナンディ
氏は「KPKは
法律で
強大な
権限を
付与された
独立捜査機関。
人権侵害や
職権乱用など
違反行為がなければ、あのような
発言をすべきでない」と
批判。メガワティ
前大統領陣営のチャフヨ・クモロ
氏は「KPKの
機能や
役割を
縮小すべきでない。
反対に、KPKはさらに
強化していかなければならない」と
述べた。
一方で、
非政府組織(NGO)の
汚職監視団(ICW)のエマーソン・ユント
氏は「
親戚の
実刑判決に
不平を
漏らしただけでは」と
話し、KPKのハルヨノ・ウマール
副委員長は「より
良い
成果を
上げるための
刺激になる」と
冷静に
受け
止めている。
■KPKの弱体化加速も
実業家射殺事件を
首謀した
疑いでKPKのアンタサリ・アズハル
委員長が
先月逮捕されたのを
機に、KPKの
弱体化が
懸念される
中、
大統領の
発言が
弱体化を
画策する
勢力を
勢いづかせる
可能性もある。
事件では、
事件発生前に
委員長が
受けた
脅迫に
絡み、KPKが
汚職捜査と
無関係の
市民の
電話を
盗聴していたことが
発覚、KPKが
強大な
権限を
乱用しているとの
批判が
噴出した。
また、
委員長の
逮捕以降、KPKが
国会議員の
汚職事件捜査を
再開したことに
議員が
猛反発。
汚職特別法廷法案では、
憲法裁判所が
制定期限は
年内と
命じたにもかかわらず、
法案可決が
議員自らの
首を
絞める
可能性もあるため、
国会審議が
遅々として
進まないなど、これまでの
汚職撲滅の
流れを
停滞させる
材料が
次々と
上がっている。